後炭の点前は、茶事の中でも、軽視されることが多い。後炭を略して、「続き薄茶」でされることがある。「続き薄茶」は、朝茶、夜咄が約束であるが、正午の茶事では、正客も楽しみにしているのに、後炭を省略することは、客に対しても失礼なことと言える。特に炭の変化は予測がつかないので、炭の燃え方によって、亭主の力量を発揮することのできる機会でもある。
後炭が省略されることが多いので、修練もあまりされることがない。それ故に、後炭の記述もあまり詳しく書かれた書物も多くはない。
後炭の湿し灰のまき方についてのA会員唐質問が寄せられた。従来の湿し灰のまき方と異なったまき方を記述した書物の出現が、A会員の疑問であった。伝承されなければならない規矩をも変革してしまう茶道の伝承に対する質問でもあった。
後炭の点前の中でも、湿し灰のまき方が、伝承されてきたまき方とは異なって記述され、指導的書物をもその様な記載がされることは、茶道の伝承にとって、誠に残念なことである。この点について、正しく伝承されてきた湿し灰のまき方を例示すると共に、平成になって、一部の指導者によって変革してしまったことについて、記述された書物の例で、A会員ページで詳細に述べてみよう。
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